今日図書館で借りた本。(5)


朝鮮人強制連行調査の記録―関東編〈1〉神奈川・千葉・山梨

朝鮮人強制連行調査の記録―関東編〈1〉神奈川・千葉・山梨


朝鮮人強制連行真相調査団の本を読むのは二冊目。前に読んだ「北海道・樺太・千島篇」は70年代に出版されたものだが、こちらは2002年。ざっと見ると、かなり綿密なデータを収録しているようだ。70年代と2000年代で、「強制連行」の叙述の仕方に変化はあるのか、という部分も気になる。


在日という感動―針路は「共生」

在日という感動―針路は「共生」


鄭大均「在日・強制連行の神話」で「強制連行肯定派」の主張として引用されていた中のひとつ。鄭大均の引用の仕方には問題が多いので、チェックしようと思い、図書館にリクエストした*1


と、ここで気づいたのだが、金賛汀にはそのものずばり「証言 朝鮮人強制連行」という著書もある。


証言朝鮮人強制連行 (1975年)

証言朝鮮人強制連行 (1975年)


なぜ鄭大均はこちらから引用せず、(強制連行に関する著書ではなく、その記述もほんのわずかしかない)「在日という感動」から文章を引用したのだろう。その辺りに鄭大均の作為を感じる(あくまで憶測だが、「証言 朝鮮人強制連行」では戦時動員された朝鮮人の帰国についても触れているのではないだろうか)。いずれこちらもチェックしよう。


しかしまあ、それはそれとして、この本はかなり面白い。


戦争は罪悪である―反戦僧侶・竹中彰元の叛骨

戦争は罪悪である―反戦僧侶・竹中彰元の叛骨


以前紹介したNHKドキュメンタリーで取り上げられていた竹中彰元についての本。活字も大きめで、読みやすさを重視している印象。のっけから「戦争は罪悪であると同時に人類に対する敵であるから止めたがよい」「此の度の事変に就て他人は如何に考へるか知らぬが自分は侵略の様に考へる」という竹中の言葉が紹介されている。田母神信者はこれも「コミンテルンの陰謀」とか言いそうだな。


表紙になっている、写真の中の竹中彰元の表情は、穏やかながらも凛としたものを感じる*2


なお、著書の大東仁氏(件の番組にも出ていたと思う)は彰元と同じ真宗大谷派の僧侶で、巻末の著者紹介によれば「お寺の鐘は鳴らなかった―仏教の戦争責任を問う」という著書のほか、「占領下南京の宗教工作」(「東アジア研究」第48号、大阪経済法科大学アジア研究所、2007年3月30日)という論文もあるそうで、こちらも興味深い。


お寺の鐘は鳴らなかった―仏教の戦争責任を問う

お寺の鐘は鳴らなかった―仏教の戦争責任を問う

*1:鄭大均の「方法論的いかがわしさ」については折に触れて書いてきた。http://d.hatena.ne.jp/gurugurian/20080828/http://d.hatena.ne.jp/gurugurian/20080825/などを参照のこと。

*2:それと、ちょっと笠智衆にも少し似ている。