つくる会が(再び)センター入試にイチャモン


以前取り上げたセンター入試の件に、案の定「つくる会」が飛び付いてきた。


新しい歴史教科書をつくる会藤岡信勝会長)は12日、大学入試センターに対し、先月行われたセンター試験の日本史問題について「南京での虐殺事件や、関東軍による張作霖爆殺事件など、学会でも異説がある事柄を歴史事実として扱っており、入試問題として不適切」とする申し入れ書を送付した。2月末までに見解を示すよう求めている。


設問では、3つの文章を年代順に並び替えることを求め、「日本軍が南京を占領するに際し、捕虜や非戦闘員を殺害」「関東軍参謀河本大作らが、張作霖奉天郊外において爆殺」などが挙げられていた。


同会は「南京で虐殺事件が起き、河本大作が爆殺の実行犯と断定しなければ解答できず、特定の歴史認識を強要、誘導する設問」と指摘している。


http://sankei.jp.msn.com/life/education/090212/edc0902122307002-n1.htm


これについてはApemanさんも取り上げている。


しかし、どうなのだろう。5年前の2004年にも「つくる会」は「朝鮮人強制連行」についてのセンター入試問題に対して抗議を行ったことがある。この時はネットでもかなり盛り上がったようだ。


しかし今や「つくる会」は内紛によって分裂・縮小し、影響力もかなり低下したのではないか。また南京事件について見れば、つい先日夏淑琴さん裁判で東中野修道氏の敗訴が確定したこともあってか、この件を取り上げているネット右翼もあまり多くないように思う。


あくまで憶測だが、今回の「つくる会」の行動は、数少ない支持者に対するアピールのため、という側面が強いような気がする。要は戸井田とおるのアレと同じ性質のもの。


とはいえ、このまま看過してよいというものでもないだろう。張作霖爆殺についても文句を言っているし、ここは是非風見鶏を決めこんでいる秦郁彦氏の意見も聞いてみたいものだ。2004年のセンター入試問題の件で「それ以上に問題なのは、受験生が提起し国会でもとりあげられた本件に大学入試センター(文科省の外郭機関)ばかりか文科省、問題作成者をふくむ歴史家たちが逃げまくるか、沈黙をきめこんでいることだろう。」(「歪められる日本現代史」p68)と歴史家の日和見主義を厳しく批判した秦氏のことだ、さぞかし鋭いコメントをして下さるだろう*1

*1:http://d.hatena.ne.jp/gurugurian/20090123も参照のこと。しかし考えてみると、今回のセンター入試問題は「つくる会」や田母神「論文」支持者に対する「釣り」というより秦氏を狙ったもののように思える。そういう意味ではただの釣りではなく、アユの友釣りに近いかもしれない。